ひとりで読む、ひとりじゃない時間
僕がエロ同人誌を読む理由
誰にも言えない趣味を持っている。
そう思っていた時期が、僕にもありました。
深夜、こっそり開くフォルダの中にある何百冊ものエロ同人誌。
それは、誰にも見せないけれど、確実に“僕の一部”を構成しているものでした。
これは、僕がエロ同人誌に救われてきた、あるいはその中で自分を見つけてきた話です。
1. 「性癖」って、居場所になるんだと気づいた
最初はただの好奇心だった。
「ちょっとエッチなやつ、読んでみるか」くらいの軽い気持ちだったけど、ページをめくるたびに思った。
「……これ、俺じゃん」
誰にも理解されないと思っていた“好き”が、そこには当然のように描かれていた。
エロ同人誌の中では、僕の性癖は恥じゃなくて、作品になっていた。
2. 商業エロじゃ満たされなかった“物語”がある
もちろん、動画や漫画も悪くない。でもどこか物足りなかった。
エロ同人誌には、物語と欲望が同じ温度で溶け込んでいる作品が多い。
キャラが心を許す瞬間、背徳感に震える時間、断れないまま受け入れてしまう表情。
そういう“心の変化”が、文字と絵の間にちゃんと存在していた。
僕が求めていたのは、ただの快楽じゃなくて「過程」だったんだと思う。
3. 誰かに見せるためじゃなく、自分のために読むもの
SNSには上げないし、誰かに共有することもない。
それでも毎日、新刊を探してしまうのはなぜだろう。
答えはシンプルで、**“これが自分を肯定してくれる時間だから”**だと思う。
仕事に疲れた日、誰にも優しくされなかった日、寝つけない夜。
エロ同人誌の世界だけは、僕の欲望を否定しなかった。
4. 作者と読者の“静かな対話”
面識はない。でも、この人は絶対、自分と同じようなことを考えてきた。
ページをめくりながら、そんなふうに感じることがある。
言葉にするのが難しい感情を、エロという形で共有してくれる人がいる。
これは創作であり、同時に“誰かと出会う行為”でもある。
5. だから今日も、僕は読む。何度でも。
「読んでよかった」
そんなふうに思えるエロ同人誌に出会ったとき、ちょっとだけ自分を許せる。
それが日常の中でどれだけささやかなことでも、
“自分の好き”を否定しない世界があるというのは、案外、心強い。
だから僕は、今日もこっそりと、新しい一冊を探すのだ。
あとがきに代えて:性は恥じゃない、個性だ。
エロ同人誌を読んでいることを、堂々と言える人は少ない。
でも、恥じる必要なんてない。
それはあなたの感性であり、物語であり、
誰にも邪魔されない“自分だけの救い”なのだから。